キミは僕に好きとは言わない





先輩と約束をした昼休みが訪れた。


『屋上で一緒に食べよう』とメッセージをもらい、ラブラブタイムの始まりだと楽しみにしていたのに………。


「なずなちゃん、今日はお弁当に唐揚げを入れてもらったんですよ。食べますか?」


……蓮先輩の他にもう1人。

何食わぬ顔で桃矢が座って待っていたのだ。


「食べるわけないでしょ!!」

「え?唐揚げ嫌いでしたっけ?」

「いや、嫌いじゃないけど………むしろ好き…………って違う!なんで桃矢もここにいるわけ!?」


唐揚げの入ったお弁当を見せつけてくる桃矢に向かって、ビシッと箸を差した。

ずっと一緒にいるとは言ったけど、先輩とのお昼について来るなんてありえない!


なんでカップルの間に割り込んでくるのさ。


「せっかく蓮先輩と2人で楽しくお昼を過ごすはずだったのに!」

「だって1人でお弁当は寂しいじゃないですか〜」

「はぁ!?」


いつもお昼は1人で過ごしてたくせに、どの口が言ってるんだか。


「ひぇええ、怒らないでくださいっ……!」

「だって桃矢が………」


「まぁまぁ、なずなちゃん落ち着いて」


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