キミは僕に好きとは言わない
「あーららっ。杉浦からご指名されちゃってるじゃん」
なんでこんなときに限って……。
「桃矢のバカヤロー!!」
本人が居ない教室でわたしの虚しい嘆きが響いた。
どうせ桃矢だってわたしが今日合コン行くの聞こえてたんでしょ?
なんでわざわざ邪魔するの!?
図書室の片付け手伝ってほしいなら、わたし以外の誰でもよかったじゃん。
もう、最っっ悪!
「やだやだっ、わたしも合コン行きたいよぉ……」
せっかく理想の王子様を見つけたのに会えないんじゃ意味がない。
ようやくわたしにも春が来た!とわくわくしていたのに台無しだ。
「そんな騒がなくたって杉浦のことほっとけばいい話でしょ?勝手に押し付けられた手伝いなんかする必要ないって」
グッと蘭に親指を立てられているが、なかなか「そうだね」とは言えなかった。