キミは僕に好きとは言わない
「えーっと、そうですけど。なにか……?」
どうしてわたしの名前を知っているんだろうと思い、首を傾げる。
蓮先輩以外に、上級生の知り合いはいないはずなんだけどな。
「ちょっと頼みごとがあるから、一緒に来てくれないかしら?」
「は、はぁ………」
勢いに飲まれて返事を戻す。
あっさり引き受けちゃったけど、大丈夫かな………?
「ふふっ、ありがと」
よく状況を理解できないまま、先輩たちの後をついて歩いた。
頼みごとってなんだろう?
と、悩みながら連れて来られたのは、すぐ近くにあった資料室。
ほとんど使うことがないから、溜め込んだほこりで息が苦しい。
「あの、頼みごとって資料運びですか?」
わたしがそう言うと、先輩たちはにこりと不敵な笑みを浮かべて資料室の扉を閉めた。