キミは僕に好きとは言わない



あれ、なんで閉めるんだろう………。

資料運びなら開けておいた方が楽なのに。


「あんたさぁ、蓮と付き合い始めたって、ほんと?」

「えっ!?」


唐突な質問に言葉が詰まる。


「実は夏休み中、公園で蓮とあんたがキスしてるとこを見ちゃったんだよね」

「そしたら今朝も蓮とデートする話なんかしてたでしょ?青春だねぇ〜」


ジリジリと詰められた距離に後退りして、気づいたら壁にぶつかるほどだった。

顔を上げれば、目の前には鋭く光る先輩たちの眼差しがある。


なんか……さっきと雰囲気が違う……。

ごくりと息を飲み込むと、リーダー格の先輩がわたしの横にあった椅子を蹴り飛ばした。


ーーーガンッ!


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