キミは僕に好きとは言わない
「はっ……なによ。あんたにはあのヘタレ幼なじみがいるからいいじゃない」
先輩が眉をひそめて笑った。
ヘタレ幼なじみって、もしかして桃矢のこと?
まさかそこまで情報が広まっているとは思わず、素直に驚いた。
「………今は桃矢なんて関係ないじゃないですか」
ぽつりと弱々しい言葉を吐いてから、少しだけ視線を逸らす。
なんでわたし、桃矢の名前を聞いたくらいで動揺してるんだろう。
先輩たちが桃矢のことを知っていようがいまいがどうでもいいのに。
さっきまでの勢いが消えて、体中の力が抜けていく感覚がした。
「蓮と別れて幼なじみと付き合えば?あんたみたいなしょぼい1年には、あのくらいの地味男がお似合いよ」