キミは僕に好きとは言わない
先輩の言葉に胸がチクリと痛む。
蓮先輩と別れて桃矢と付き合えって?
そんなことするわけないじゃん。
桃矢はただの幼なじみだし、恋愛感情はゼロだ。
わたしは、蓮先輩の隣にいるときが一番幸せなんだから………。
「嫌です」
再び前を見据えて、そう口を開いた。
「は?」
目の前に立つ先輩がたまらず口元を歪ませる。
怒りに触れてしまったと感じても既に遅く、どうせなら最後まで言ってやれと思い直した。
「蓮先輩が好きだから、別れたくありません」
これが、今のわたしが言える精一杯の本音。