キミは僕に好きとは言わない


「なっ……1年の分際で調子乗りすぎなのよ!!」


と、先輩が大きく手を振り上げた。


そのうち手を出してくるんじゃないかと覚悟はしていたけれど、実際に起こると怖くてたまらない。

グッと歯を食いしばり、訪れる衝撃に身構える。


ーーーけれど、その衝撃が降ってくることはなかった。



「やめろ」


代わりに落ちてきたのは、誰かの冷たい声。

わたしはパチリと目を見開いた。


「今、なずなに何しようとした」


え……。

衝撃的な光景に何度も瞬きを繰り返す。


だって、まさか。

この冷たい声の持ち主が、桃矢だとは思わなかったから。


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