キミは僕に好きとは言わない


「なら、俺もお前らに教育してやろうか?」

「は?」

「二度となずなに手ェ出せないよう、特別にみっちり叩き込んでやるよ………」


「っ、」


獲物を刺すような鋭い眼差しに、わたしも思わず体が震えた。


こんなに怒ってる桃矢……初めて見た……。

いつもヘラヘラ笑ってるか、ビクビク怯えてるかのどっちかなのに。


「っ、……あっ………」


わたしを殴ろうとしたリーダー格の先輩も、その周りにいた先輩たちも、一瞬にして涙を浮かべ同じように震えている。


そんな先輩たちに追い討ちをかけるよう、桃矢がまた口を開いた。


「またなずなを傷つけるようなことしたら、女だからって容赦しないからな……?」



トドメの一撃。

そうはっきり言えるほど、放った言葉は壮絶な効果が籠っていた。


< 171 / 289 >

この作品をシェア

pagetop