キミは僕に好きとは言わない


「大丈夫ですか!?」


床に膝をついたわたしを見て、焦った桃矢が姿勢を落とす。


「大丈夫なわけ、ないじゃん」


わたしは俯いたまま返事をする。


「怖かった。すごく……怖かったんだから………」


こんなこと、桃矢に言ってもどうにもならないのに。

ようやく恐怖が去ったことで、自ずと桃矢に甘えてしまう。


「ごめん、遅くなって」


すると桃矢は、震えるわたしの体をそっと抱き寄せて。


……良い匂い。

ここは、すごく安心できる。


「助けてくれてありがとう……」


桃矢の優しさに縋るように、胸に顔を埋めてそう返した。


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