キミは僕に好きとは言わない
ヘタレで弱虫な桃矢がわたしを守ってくれた。
自分だって怖かったはずなのに、いつの間にこんなに頼もしくなったんだろう。
小さい頃は、わたしが桃矢を守っていたのに。
いくらヘタレだからって、桃矢もやっぱり男の子なんだなぁ………。
「なずなちゃん」
頭の上から優しい声が聞こえる。
「ん、」
わたしは涙声で返事を戻した。
「なずなちゃんを傷つける人は僕が絶対に許しません。どこにいたって、必ず駆けつけます」
わたしを抱きしめる力が強くなる。
その息苦しさがほんの少しだけ嬉しくて。
桃矢が側にいてくれるこの瞬間が、何よりも幸せだと気づいてしまった。