キミは僕に好きとは言わない


今日は楽しみにしていた、蓮先輩との水族館デート。


先輩と一緒に出掛けるのはこれが2度目だけど、彼女としては初めてだ。


お気に入りの洋服に身を包んで、慣れてきたメイクをして、髪の毛はゆるく巻いてみたり。

今日のオシャレは全部先輩のためにした。


それなのにわたしは、無関係な桃矢のことを考えてしまっている。


女の先輩たちから守ってくれた日のことを忘れられなくて。

隣には蓮先輩がいるにも関わらず、桃矢のことが頭から離れなかった。


わたしには蓮先輩っていう世界で一番素敵な彼氏がいるのに、他の人を意識するなんておかしいよ。

これじゃあまるで、浮気してるみたい………。



「あ、またぼーっとしてる」

「へっ!?」


先輩の声で再び我に帰り、パチパチと瞬きを繰り返した。


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