キミは僕に好きとは言わない
「なんだか危なっかしいね」
「うっ……」
やれやれと肩を落とす先輩の姿に胸が痛む。
やばい………先輩のこと怒らせちゃったかも……。
「あの、蓮せんぱ………」
「お仕置きとして、今日は一日俺と手繋いでもらうから」
「わっ、!?」
わたしの声を遮るように、先輩がわたしの手をぎゅっと握った。
「せっかくのデートなんだからさ、俺のことだけ考えてよ」
ーーーきゅん。
真っ直ぐに突き刺さる先輩の言葉は、今日もわたしの心を胸きゅんにさせる。
あぁ、やっぱりわたしは蓮先輩が好きだな。
この手を離してまで欲しいものなんて、なにもないよ………。
「はい!先輩のことだけ考えます!」
「ははっ、俺もなずなちゃんのことだけ考えるよ」