キミは僕に好きとは言わない


「ねぇ、キミもしかして1人?」


と、そのとき。


「へ?」


顔を上げると、わたしの座るベンチの前にチャラついた男の人が立っていた。

いつの間に!?と思って目をギョッとさせる。


「1人で水族館来るなんて寂しくない?よかったら俺と飯でも行こうよ。奢ってあげるからさ」


目の前に立つ男の人は、見た目からも容易に想像できるほどの軽い口調でそう言った。


「結構です。今、彼氏とデート中なんで」


いくら1人で座ってるとはいえ、寂しい女だと勘違いされて腹が立つ。

ばっさりと断りを入れたら「え〜、彼氏より俺の方がかっこいいでしょ?」と、訳のわからないことを言われた。


なに?かっこよかったらなんなの?

てゆうか、蓮先輩よりかっこいい人がそう簡単にいるわけないじゃん!


「わたしは彼以外興味ないんで他当たってください」


「嘘つかないでよ〜。つまんなそうな顔してたじゃん」


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