キミは僕に好きとは言わない


「僕は今日のことだけを言ってるんじゃないですよ」


え……。

ふと、別の日の記憶が脳裏に浮かぶ。


もしかして、女の先輩に絡まれた日のことを言ってるんじゃ……?

確かにあの日は泣いていたけど、それだって先輩が悪いわけじゃない。


わたしが考えなしにホイホイついて行ったことにも原因があるんだ。


「いいよ、許さなくても」


すると先輩は、視線を落としながらそう言った。


「は?」

「え?」


言葉の意味がわからず、わたしと桃矢は首を傾げる。


いいよって、どういうこと……?


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