キミは僕に好きとは言わない


どうするって………。

わたしには関係ない話だよね………?


桃矢がわたし以外の人を好きになったって別に構わない。

だって、それは桃矢の自由でしょう?


そうだよ。そうすればこんなに悩むことだってなくなるんだ。

桃矢がわたしから離れてくれれば、また蓮先輩のことだけを。


先輩、だけを…………。


「…………」

「なずなちゃん?」


急に動かなくなったわたしを、先輩が心配そうに覗き込む。

何か言わなきゃと思い口を開いてみたが、怖くなって喋るのをやめた。


ズキズキと胸が痛い。張り裂けそう。

わたし、なんでこんなに苦しいんだろう。


< 205 / 289 >

この作品をシェア

pagetop