キミは僕に好きとは言わない
「ありがとう。なずなちゃんに世界一素敵な人って言ってもらえただけで十分だよ」
「はい……」
「さよなら、だね」
「…はい…………」
震える唇で弱々しく言葉を返した。
わたしの頭を撫でる先輩の手があまりにも優しくて、温かくて。
涙は止まらず溢れ続ける。
時折、先輩が「泣きすぎ」と笑っていた。
その笑顔をこれからは彼女として見れないんだと思うと、胸が苦しい。
手放したのはわたしだ。
だけど、先輩と一緒にいて楽しかったのは本当だから。
「蓮先輩、ありがとうございました………!」
最後は笑って、先輩にそう告げた。