キミは僕に好きとは言わない
蘭のやつ、桃矢を好きになったって教えてからわたしの扱い雑じゃない?
もう少し優しくしてくれたっていいのに!
目の前でメイク直しをする蘭に向かって「一緒に補習受けてよ〜」と、袖を引っ張った。
「はぁ?あたし赤点取ってないんだけど」
「そこをなんとか!桃矢と2人で補習なんて絶対に嫌なの!」
わたしがこれほど焦っているのは、赤点を取ったからではなく、桃矢と2人で補習をするのが嫌だから。
桃矢と一緒にいるとドキドキしっぱなしで心臓もたないし、2人きりになろうものなら爆発して気絶してしまいそう。
だから、しばらく桃矢の家には行っていない。
朝も適当な理由をつけて1人で行くようにしてるし、避けてるのはバレバレだと思う。
「赤点取ったなずなが悪いんでしょ!あたしはこれから合コンだし、本気で無理だから」
蘭が強引に手を振りほどいて、噛み付くように言う。
「酷いよぉ……」
「全く………そんなにしんどいなら、早く告ればいいじゃん」