キミは僕に好きとは言わない
こんなことを言ったところで先生が考えを改めるとは思ってないけど、文句を言いたくて仕方がなかった。
少しでも反撃しておかないと桃矢が可哀想だったし。
あとは道連れにされるわたしも、ね。
「なずなちゃーん、こっちは全部終わりましたよー」
「あっ、終わったの?」
わたしと先生が無駄話を重ねている間に、どうやら桃矢が担当していた上の段は片付けが終わったらしい。
本棚の影からひょっこり顔を出してへらへらと笑っていた。
「おー、杉浦。いつも手伝いご苦労な!」
「い、いえ……!僕でよければいつでも手伝います……」
「はっはっはっ。さすがだな!残りは先生がやるから2人は帰っていいぞ」
上機嫌に笑い飛ばしているけど、実際ほとんどやる事は残っていない。
先生がもっと早く来てくれれば今頃家に着いてたかもしれないのに。
「ですってよ、なずなちゃん。帰りましょう」
「はぁー、やっと帰れる………」