キミは僕に好きとは言わない


「前になずなちゃんが食べてみたいって言ってたお菓子をたまたま見つけたから、持って来たんだ」


そう言って先輩が手渡してくれたのは、季節限定のチョコレートだった。


「え、?」


んー………、前にメッセージでそんなやり取りをしたこともあったような……。

わたしでさえ忘れていることを覚えてるなんて、先輩はすごいな。


こういう控えめな優しさが、女の子のツボなんだと改めて感じた。


「ありがとうございます……!」

「どういたしまして。これ食べて補習頑張ってね」

「はい!」


先輩と別れた直後は罪悪感でいっぱいだったけど、変わらずて仲良くしてくれるのがすごく嬉しい。


だから蓮先輩は、今でもずっとわたしの憧れの人なんだ。



「じゃ、お菓子も渡したことだし、そろそろ行くよ

「渡しに来てくれて、ありがとうございました!」

「うん。またね」

「はい、また……!」


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