キミは僕に好きとは言わない


けれど、そう簡単にうまくいくはずがなかった。


「「っ、!?」」


別世界にいたはずのわたしたちが、突然飛んできた声に呼び戻される。


慌てて距離を取ってから振り向けば、カンカンに怒ってる佐々木先生が立っていて。


「俺がいない隙に課題放り出しやがって。早く教室に戻れ!」


と、怒鳴り叫んでいた。


「すっ、すす、、すみません!!」

「ごめんなさいっ……!」


まるで何もなかったように発熱した頬を手で仰いでみたけれど、はたから見たらバレバレだ。

それでも先生は不思議そうに首を傾げてくれたから、たぶん気づいていないと思う。


補習中に抜け出してキスした…………なんて、先生が考えるはずもないか。


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