キミは僕に好きとは言わない


「ねぇねぇ、知り合いのレンタルショップからいらなくなった王子様の衣装借りてきたんだけど、宣伝用に誰か着ない?」


そう言ってステージの上を歩くのは、クラスメイトの子だった。

大きめの衣装を持ちながら「どうかな?」と、クラス全体に聞いている。


「どうかなって、サイズでかすぎない?身長高い人しか着れないじゃん」


隣にいた皐月が風船をくっつけながらそう聞いた。

たしかに彼女が持っている衣装は、どう見ても高身長な人しか着れないサイズ感。


最低でも180センチくらいはないと無理そう。


「あ、杉浦なら着れるんじゃない?このクラスで一番身長あるだろ」

「えっ、僕ですか!?」


ステージの端で機材の調節をしていた桃矢がビクリと肩を震わせた。

私も嘘でしょ!?と焦り、桃矢を見る。


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