キミは僕に好きとは言わない


ほんっっとに今日はツイてない。


合コンに行けなかったのも、図書室の手伝いを付き合わされたのも、ヘアピンを落したのも、全部桃矢のせいだ。


桃矢がヘタレなせいでいつもわたしに火種が飛んでくる。

ヘアピンが見つからなかったら桃矢のこと一生恨んでやるから!


「……ははっ、なんてね」


こんなことを思っても何かが起こるわけでもない。

むしろ恨んでることが桃矢に知られたら泣かれてわたしが困るだけだ。


落したのは自業自得であって桃矢は全く関係ないもん。


「あんな小さいヘアピンがそう簡単に見つかるかねぇ……」


ゴミだと思ってゴミ箱に捨てられたとか?


ちょうど近くに置いてあったゴミ箱のフタを外してみたけど、中身は空っぽ。

掃除が終わった後だし当然っちゃ当然か。


もしもゴミ箱に入っていたとしたら今頃は外のゴミ置場に………。


さすがに学校中のゴミが集まっているあの場所からヘアピンを見つけるのは不可能に近いだろう。

捨てられてないことを祈るしかないのかな。


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