キミは僕に好きとは言わない
恋に遅いも早いもないことはわかってる。
わかってるけど、ずるいじゃん。
ーーー『100%成功する告白のくせに、なんで言わないの?』
ーーー『取り返しつかなくなる前にちゃんと伝えなよ?』
以前、蘭に言われた言葉が今になって頭の中に蘇ってくる。
こんなに怖くなるなら、逃げずにさっさと告白してしまえばよかった。
そうすれば今だって「わたしの彼氏に近寄らないで」と、それくらい簡単に言えたのに。
「………」
けれど、わたしは動けない。
さっきまで感じていた桃矢の視線も、今はどかへ消えていた。
こっち見てよ桃矢。
わたしはここにいるんだよ。
心の中で叫んだ嘆きは、行き当てもなく溶けて消える。
ズキリと痛む胸の傷。
これが片想いの傷跡なんだと、嫌になるほど思い知った。
こんなんでわたし、告白なんてできるのかな。