キミは僕に好きとは言わない


「さてさて、次の告白は3年2組、斎藤由香さん!お相手はもちろん萩原蓮さんでーす!」

「きゃああああ!」


ははっ……これで6回目か。


飾りつけ担当だったわたしは、当日にやる仕事がほとんどない。

裏でステージを傍観していたけれど、クラスメイトの視線に耐えきれず、そっと抜け出すことした。


告白大会に人が集まりぎているせいか、校内は少しだけひと気が少ないような気がする。

せっかくの文化祭なのに、出店が寂しいってすごい。


これもやっぱり、蓮先輩の影響なのかな?


告白大会が大盛況なのは、蓮先輩が告白相手として呼ばれているからだ。

感謝を伝えるステージって聞いてたのに、出場者の人ほとんどが蓮先輩への告白で驚いた。

改めて考えると、本当にすごい人と付き合ってたんだなと実感する。


だから、あの場にいたくなかったんだ。

わたしが元カノだって全員に知られてしまったから、集まる視線が怖くて。


< 253 / 289 >

この作品をシェア

pagetop