キミは僕に好きとは言わない
「あーあ、ぼっちでどこ行こう」
皐月は告白大会の音楽を流す担当になってるし、1人で文化祭を回るのは気が引ける。
桃矢は王子服を着たままどこかへ連れてかれたし、探すのだって面倒だ。
どっか誰もいない場所があればいいんだけどな………。
ふと、窓の外に視線を向けた。
野外に作られた特設ステージでは、告白大会が続いている。
あ、次の告白は蓮先輩じゃない人だ。
さすがに出場者の全員が蓮先輩に告白するわけがないよね。
今度こそ感謝を伝える人が出場したのかと思ったけれど、相手として登壇したのは友達でも先生でもなく、男の子だった。
「ずっと好きでした!わたしと付き合ってください……!」
マイク越しに通る声はとても震えていた。
ただ見ているだけのわたしにも、その緊張が伝わってくる。
「俺もずっと好きでした。よろしくお願いします!」
ワァッと沸き起こる歓声。
わたしも釣られて拍手をしてしまった。