キミは僕に好きとは言わない
気が済むまでここに居座ろうと思って、非常階段に座り込む。
1人で考えて、落ち着いたら桃矢でも探しに行こう。
そう思ったのに。
考え事をしていたせいなのか、わたしは周りが見えていなかったらしい。
「なずなちゃん……?」
頭上から声が降ってきて上を見上げる。
するとそこには、王子服を身に纏った桃矢がいた。
「と、桃……………っ、痛った!?」
驚いた勢いで体が倒れ、階段に勢いよく頭をぶつけた。
情けなく仰向けになったわたしの瞳には「大丈夫ですか!?」と、慌てた様子の桃矢が見える。
あぁ、なんて醜態……。
動く気力も無くしていて、桃矢がわたしの元に駆け寄って来るまで動かなかった。