キミは僕に好きとは言わない
「はぁ……」
ふと零れ出たため息が、風に吹かれて飛んでいく。
きっと今頃、蘭たちは合コンを満喫してるんだろうなぁ。
画面越しで見たあの王子様も、他の女の子たちとイチャイチャしてるのかな。
せっかく恋が始まると思ったのに……。
会いたかった。
会って話をしてみたかった。
だって理想中の理想だったんだもん。
「…………っ」
なんだろ、自分が情けなくて泣けてきちゃった。
彼氏なんか作らずこのまま生きていけって神様のお告げなのかな。
ははっ、それは結構辛いかも。
そのときは桃矢と付き合っちゃう?なーんて。
………桃矢が彼氏かぁ
『杉浦って絶対なずなのこと好きだろうし』
ふと、今日のお昼に蘭が言っていた言葉を思い出した。
桃矢がわたしを1人の女の子として好きって意味でしょ?
うーん、100%ありえないよね。