キミは僕に好きとは言わない


熱く火照っていた体が、一瞬にして凍りついたように冷えていく。


そうだ、わたし……………。


文化祭が終わったら桃矢に告白すると決意はしたけれど、蓮先輩と別れたことは告げようとしなかった。

告白するときに言えばいいと考えて、複雑な問題を後回しにしていた。


けれど、その考えは甘すぎたんだとようやく気づく。


告白大会であれほど騒がれていたのに、どうして知らないふりができたんだろう。

蓮先輩がステージに登壇するたび、後輩と別れたって、嫌になるくらい言っていたのに。


異様なほど盛り上がっていた大会だ。

自分のクラスが主催するステージを、桃矢が見ていないはずがない。


わたしが教える前に知られちゃったんだ。


そして、わたしが桃矢に隠していたと思われたんだ。


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