キミは僕に好きとは言わない
「ほんと情けないですよね………」
ハンカチをぎゅっと握りしめて、これ以上泣き顔を見られないように下を向いた。
先輩のときはあんなに必死になれたのに、桃矢を前にすると何も言えないなんて。
桃矢との恋が全く交わらない。
わたしってそんなにだめ?
どう足掻いても同じ過ちを繰り返してしまいそう。
「こんなわたしじゃ、桃矢に告白する資格がありません………どうせまた傷つけるに決まってます!」
もう、だめだよ。
傷つけてばかりの恋は苦しい。
自分勝手に蓮先輩を巻き込んだくせに、結局は上手くいかなくて泣いている。
だからきっと、わたしは恋に向いていないんだと思う。
「それじゃあ、気持ちを伝えないまま、ただの幼なじみでいる気なんだ?」
「はい………。わたしたちには、その方が性に合ってるのかもしれません」