キミは僕に好きとは言わない
てゆうかさ、ヘアピン無くしたのは自業自得だとしても合コンに行けなかったのは完全に桃矢のせいじゃん?
桃矢が図書室で派手に転んでる姿見て怒る気力無くしちゃってたけど、文句の1つや2つ言っておけばよかったよ!
今更ながら怒りが込み上げてくる。
そのせいか歩くスピードも少しずつ上がってきていて、ドスンドスンという効果音がお似合いだ。
あ〜、なんかすっっっごいムカムカする!!
泣いたり怒ったり、今日のわたしは特に忙しい。
叫びたい。
叫んでスッキリしたい。
「あ……」
あそこの窓、開いてる。
ちょうど通り過ぎようとした廊下の窓がタイミングよく開きっぱなしだったことに気がついた。
窓の縁に手を当て近づくと、心地の良い風がふわりと顔に広がった。
部活中の生徒が聞いてようがわたしの顔が見られなきゃ関係ない。
この怒りを収めるには、腹に溜めた感情を吐き捨てる以外の選択肢が他にないんだもん。
スーッと息を吸い込んで、
「桃矢のバカァアアアア!!」
綺麗な夕日には不似合いの言葉を叫び散らした。
ーーーガチャ
けれど、それは失敗に終わる選択肢だった。