キミは僕に好きとは言わない


すると先輩は、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。


「蓮(ハス)の花言葉は清らかな心。なずなちゃんが俺にぴったりだって言ってくれただろ?」

「は、はい……」

「うん。だから、いつまでもなずなちゃんの憧れでいさせてよ」


純粋すぎる先輩の言葉を聞いたら、涙が消えていく感覚がした。


桃矢が好きだと気づかせてくれたのは蓮先輩だった。

先輩と付き合わなかったら、わたしは今でも桃矢が好きだと自覚していなかったかもしれない。


それはそれで、恋にならなかったんだと言われれば終わりだけど、わたしは桃矢を好きになれてよかったって思ってるから。

苦しくて、辛くて、どうしようない時もあるけど、この想いを大切にしたい。


だから、先輩の言葉を信じていいかな。

桃矢はわたしの「好き」を待ってくれてるって、思ってもいいかな。



「それでは、告白大会の後半をスタートしまーす!」


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