キミは僕に好きとは言わない
「大好き!」
走ると喉が痛かった。
今日はずっと気分が最悪で、せっかくの文化祭も楽しめやしない。
けれど、わたしは走る。
真っ直ぐに前を見据えて、大好きな桃矢の元まで。
しばらく走り続けたら、告白大会のステージが見えた。
未だに凄まじい盛り上がりを見せる光景に、少しだけ足が竦む。
桃矢はどこに……………。
「続いての告白は、1年3組吉岡絵里さん!相手はなんと!杉浦桃矢くんでーす!」
司会者の声が聞こえてハッと顔を上げた。
ステージの上には吉岡さんと桃矢が立っていて。
「きゃー!超かっこいい!!」
「あの王子様って、杉浦だったの!?」
桃矢の登場に会場全体がザワついていた。