キミは僕に好きとは言わない


桃矢、本当に告白されるんだ………。


「ひ、一目惚れしちゃいました!よかったらあたしと付き合ってください!」


自分の好きな人が、別の誰かに告白をされている。

それだけで、こんなにも胸が苦しいなんて。


告白大会を見に来た人集りの1番後ろに立ち、張り裂けそうになる気持ちをグッと堪えた。


桃矢は、わたしがこの場にいるとは思っていないだろう。

恥ずかしそうに顔を赤らめる吉岡さんを真っ直ぐに見つめて。


ドキドキと心臓が早鐘を打つ。

桃矢は、なんて答えるんだろう…………。


すると、吉岡さんを見ていたはずの桃矢が徐に観客席に目を向けた。


ーーーバチッ

え……。


ほんの一瞬、桃矢と目が合ったような気がした。


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