キミは僕に好きとは言わない


う、うそでしょ……!?

今手を挙げている人の全員が桃矢に告白するの!?

数えだしたらキリがない。


まさか、たった一度顔を見せたくらいで、こんなに人気が出るとは考えもしなかった。


「杉浦くん大人気じゃないですか〜。この際、好きな子の名前言っちゃったらどうです?」


当の本人はズルズルとステージに連れられて、司会者の不敵な笑みを間近で浴びている。

あんな酷いこと言っちゃったんだもん。

桃矢の好きな人はわたしだ!なんて、堂々と叫ぶ自信はない。


「あはは、そうですねー………」


マイクを向けられた桃矢は苦笑いを浮かべていた。

チラチラと観客席を見ては、女の子たちから黄色い歓声を浴びている。


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