キミは僕に好きとは言わない
「え?」
「へ?」
声をあげたのはほぼ同時だったと思う。
わたしが叫び散らした窓のすぐ後ろにあった教室のドアが突然開き、
「えっと………」
1人の男子生徒が唖然とした表情でわたしを見ていた。
あれ、この人どこかで………。
「………あぁっ!」
ここで血の気がサーッと引いていくのに気づく。
そうだ、そうだよ。
ちょうど目の前に現れた彼は、わたしにとってただの男子生徒ではない。
わたしが会いたくて会いたくてたまらなかったあの人。
なんでこんなところに………。
「萩原、先輩……」
運命を感じた王子様こと、萩原蓮先輩が立っていたのだ。