キミは僕に好きとは言わない
「1年3組戸松なずな、告白します!!」
ざわつく声なんて気にしない。
倒れてしまわないよう、グッと足に力を込めた。
「桃矢!………蓮先輩と別れてたこと、言わなくてごめん。本当はずっと怖かったの。わたし、桃矢が思ってるほどいい人じゃないから」
桃矢がわたしを好きだと言ってくれても、醜いわたしは、なかなか手を取ることができなかった。
泣かないと決めていたのに、次第に視界が歪んでくる。
「彼氏にするなら蓮先輩みたいな王子様が理想だし、桃矢みたいなヘタレは好きになるわけないって勝手に思ってた」
言いたいことは山ほどあった。
少しずつ震えだす唇から、ちゃんと言葉になっているのか心配になってくる。
でも、今は。
わたしが言える全部を桃矢にぶつけたい。
「たくさん傷つけてごめん。こんな最低なわたしでも好きでいてくれたことが、本当は嬉しかった。もう今更遅いかもしれないけど、言わせてほしいの…………」
震える唇を噛み締める。
最後の言葉だけは失敗してはいけないと、再び息を吸った。