キミは僕に好きとは言わない


わたしがドキドキしているとも知らずに「今度は無くさないようにね」と、先輩がキラキラの笑顔を見せてくる。


っ………。

この笑顔……なんかやだよ。

改めて先輩を見ると、胸の奥がそわそわして落ち着かない。


だって、萩原先輩がかっこよすぎるんだもん。


写真と実物は違うってよく聞くけどまさにその通り。

先輩は写真で見るよりずっとずっと整った顔立ちをしていて、こんなキレイな顔した男の人は初めて見た。


本当に本物の王子様みたい。


「ナズナのヘアピン付けてる子初めて見たな。好きなの?」

「好きっていうかわたしの名前がなずなっていうので……それで……」

「ええっ、そうなんだ!?ナズナってあのぺんぺん草のことだよね?」

「ゔっ……そうです」


あぁ、やっちゃった。


まったく……なずなって言えば可愛げがあるのに、なんでわたしの名前は別名がぺんぺん草なんだろう。


名前言うたびみんなぺんぺん草を想像しちゃうからキリがない。

ぺんぺん草って言われるとなんだかバカにされてる気にもなるし、第一全然可愛くない。


萩原先輩に言われると結構へこむなぁ……。


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