キミは僕に好きとは言わない


「実は昨日ね、偶然萩原先輩に会ったんだ!」

「うんうん、それで?」

「それで、理想通りの王子様だったからまんまと好きになっちゃって………」


「ふーん。だからこんな朝っぱらから、変な顔で本読んでたんだ?」

「へ、変な顔なんかしてないよ!」


蘭の毒舌は朝でも威力が落ちることはないらしい。

本当に変な顔だったらどうしようと思い、頬をペタペタ触ってみたけれど、たぶん大丈夫だと思う。たぶん。


「萩原先輩が合コンに来なかった理由は聞いたけど、まさかなずなと一緒にいたとはねぇ〜」


あ、そういえばそうだ。

先輩が好きって気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいで、合コンのことをすっかり忘れていた。


「やっぱり萩原先輩、合コンに参加してなかったんだ?」


昨日、わたしと萩原先輩が会ったときには既に合コンが始まっている時間だった。

つまり、先輩は合コンに行かなかったわけで。

なんで参加者の萩原先輩が学校に居たのか疑問だったけど…………。


「なんかねー、イケメン要員として強引に連れて来ようとしたんだって。んで、結局最後は逃げられたんだとさ」

「へぇー」


ということは萩原先輩って、合コン好きなチャラチャラした男とは違うってことだよね?

つまり誠実ってことじゃん!ますますかっこいい!


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