キミは僕に好きとは言わない
「ねぇ、蘭。どうしたら先輩の彼女になれると思う?」
「うわっ、直球」
蘭に嫌な顔をされたけど、細かいことを気にしてる場合じゃない。
恋愛経験豊富な蘭に、少しでもいいからアドバイスがほしいんだもん。
今読んでる本よりも役に立つ解答が貰えそう。
「そうだねー、やっぱりここは女の色気で攻めるべきじゃない?」
「色気って………例えば?」
「さりげなくボディータッチしてみたり、胸元を見せつけたり?」
それっていつもの蘭じゃん………。
蘭は美人だからいいかもしれないけど、わたしみたいな平凡が胸元を見せつけたら最後、蹴り飛ばされるに違いない。
むしろ変なもの見せてごめんなさいって謝りたくなるレベル。
「先輩3年生だし、わたしみたいな年下が色気出したところで勝てる気しないんだけど」
「あー、確かに。なずなは色気ゼロマイナスくらいだもんね」
「ゼ、ゼロマイナス!?」
なにそれとつっこむ気にもなれない。
たしかに自分に色気があるとは思ってないけど、そこまで皆無だったとは……。
わたしだって1つくらい取り柄がほしかったよ。