キミは僕に好きとは言わない
「先に学校行くなんて酷いです!一言くらい言ってくださいよ!」
「ごめんごめん。桃矢のこと忘れてた」
「そ、そんなぁ……」
ぶつかったのは相変わらずヘタレ全開の彼、桃矢だった。
容赦ないわたしの言葉にしゅんと肩を落として、ぶつぶつと文句を言う。
桃矢とは毎朝一緒に学校に行くことが日課だったけれど、今日だけは何も言わず先に登校していた。
家でじっとしていられなかったんだよね。
「じゃあ、わたしはもう行くから」
「行くってどこにですか?」
「王子様のと・こ・ろ」
パチンと、わざとらしくウインクをしてみた。
早くしないとチャイムが鳴っちゃう!