キミは僕に好きとは言わない
はぁ………。
ついムキになって振り払っちゃったけど、冷たくしすぎたかな。
桃矢だって悪気があって言ったんじゃないだろうし、今更ちょっと反省。
こんな子どもっぽいわたしじゃ、萩原先輩に振り向いてもらえないかも。
早く大人になりたい……。
落ち込んだ気持ちを引き連れたまま3年生の教室前に着いたけれど、萩原先輩の姿はなかった。
先輩、まだ学校に来てないのかな……?
チャイムが鳴るまで余裕はあるが、そろそろ来ていてもいい頃だと思う。
行く当てもなく3年生の教室前をウロウロしていると、急に廊下が騒がしくなった。
「おはよー、蓮!」
「ねぇ蓮、今日の放課後遊び行かない?」
「あはは、そのうちね」
……あ、萩原先輩だ!
たくさんの女の子を引き連れて、廊下の奥から萩原先輩が歩いて来るのが見えた。
なんか、本当に王子様って感じ。
あんなにたくさんの女の子に囲まれて登校する人、初めて見た………。