キミは僕に好きとは言わない
やっぱり萩原先輩はモテるんだと、改めて実感した。
芸能人並に整った顔とルックスだもん。女の子がほっとくわけないよね。
でも……!
負けてられないと意気込んで、真正面から歩いてくる萩原先輩たちに近づいた。
「萩原先輩………!」
わたしの放った声が、騒がしい廊下の中でもよく響く。
「誰あの子。1年生?」
「蓮の知り合い〜?」
うっ……。
そして一瞬してわたしの元に集まる視線が怖くて、思わず顔が引きつった。
女の先輩って、変な威圧を感じるから苦手なんだよね……。
「あれ、もしかして昨日の………なずなちゃん?」
すると、輪の中心にいた萩原先輩がわたしに気づいてくれて。
「は、はい!そうです!」
また声をあげた。
わたしの名前、覚えてくれてたんだ……。
嬉しすぎて顔がニヤけてしまいそう。
「へー、蓮って1年に知り合いいたんだぁ?」
「え……っと……」
この視線、確実に敵を見る目だ。
おそらくこの場にいる人たち全員が、萩原先輩に好意を寄せているに違いない。
わたし……こんな人数相手に勝てるのかな……?