キミは僕に好きとは言わない


「それじゃあ2人とも、気をつけて帰ってね」

「は、はい……!」


あーあ、もうお別れの時間だなんて寂しい。

1日がもっと長ければいいのにな。

そうすれば、ずっと先輩の側にいられるもん。


今日ははこうして先輩の近くにいれたけど、学校が始まったら、ただの後輩に戻ってしまう。

クラスも学年も違うとなかなか会えないし、萩原先輩の取り巻きに先を越されちゃうのかな。


…………そんなの嫌だよ。


どうすれば先輩の特別になれる?

1番気になる後輩とか、1番仲の良い後輩とか。

簡単なとこからでいいからさ。


今すぐ彼女になりたいなんて贅沢は言わないから、ほんの少しだけ先輩の特別な存在になりたいの。


「あの、萩原先輩………」


何を言えば、先輩は振り向いてくれるのかな。

何をすれば、笑ってくれるかな。


もしも「好き」って言ったら、恋愛対象として見てくれるかな。


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