キミは僕に好きとは言わない
「わたし、先輩ともっと……仲良くなりたいです」
「え?」
「先輩にもっと近づきたいんです!」
振り絞るように出した言葉は、ほんの少しの賭けと、ほんの少しの逃げだった。
好きと言えば簡単に見方を変えてもらえると思う。
でも、きっとそれだけ。
だったら、遠回りでもいいから少しずつ先輩との距離を縮めたい。
わたしにはその方が性に合ってる気がした。
「俺もだよ」
先輩が小さく笑う。
「なずなちゃんと仲良くなりたいと思った。だから、これは俺からのプレゼント」
「え?」
そう言って、先輩が突然取り出したのは………。
「元気で明るいなずなちゃんにぴったりだと思ってさ」
黄色いガーベラの花束だった。