キミは僕に好きとは言わない
萩原先輩とは知り合ったばかりだし、先輩の周りにいる女の人たちには到底叶わないと思う。
でもさ、もしかしたら……わたしの行動次第で先輩との未来はいくらでも変えられるんじゃないかな。
こんな素敵な花束を貰ったら、嫌でも期待しちゃうもん。
好きだからこそ簡単に自惚れてしまう。
先輩も少しはわたしのことを、って………。
「ーーーなずなちゃん、そろそろ帰りましょうよ」
すると、しばらく大人しかった桃矢が、いつの間にかわたしの手首を掴んでいた。
「あ、うん」
やけに真剣な瞳で見てくるから、少しだけ胸の奥がドキンと弾む。
今日の桃矢は、やっぱりいつもと雰囲気が違う気がする。
ヘタレコミュ障なのは変わらないけど、変に真面目というか。先輩に対して明らかな敵対心を燃やしている。
なんで?先輩がかっこいいから?
「それでは先輩、今日はありがとうございました!」
「うん。また学校で会おうね」
「はい!」