キミは僕に好きとは言わない
「俺、結構優しくないんだよ」
「萩原先輩、おはようございます!」
「おはよう、なずなちゃん。今日も元気だね」
「萩原先輩に会えたから元気なんです!」
「ははっ、そっか」
先輩の家に遊びに行った日から、数週間が経った。
あれから、校内でも気軽に挨拶を交わす仲に進展した萩原先輩とわたし。
廊下ですれ違ったときには手を振ってくれたり、先輩のクラスに遊びに行くと暖かく迎え入れてくれたり。
憧れの王子様と過ごす学校生活は、予想以上に楽しくて幸せだった。
頭の中は、毎日ふわふわとした夢心地気分。
この小さな幸せが、ずーっと続けばいいのにって本気で思えるくらい。
学校に来る目的が、萩原先輩に会うためと言っても過言じゃない。
恋って幸せだ。