キミは僕に好きとは言わない


「へー、恋愛初心者のなずなが萩原先輩と仲良くなるなんてすごいじゃん」

「わたしが本気を出せばこんなもんよ!」


4時間目終わりの昼休み。いつものように蘭と教室でご飯を食べながら、朝の出来事を話していた。

もはや恒例になりつつある、わたしの萩原先輩話。


「挨拶くらいでそんなに舞い上がれるなんて、ある意味羨ましいわ」と、蘭は絶妙な毒を吐いてくるけど、嫌がらず話は聞いてくれる。

蘭のこういうさりげない優しさも、男にモテるポイントなのかもしれない。


「それじゃあ、本気を出したなずなは今後の予定もちゃんと考えてるんだ?」

「今後の予定………?」


今後って、わたしと先輩のこれからのこと?

仲の良い後輩として少しずつ距離を縮めていく作戦だったのに、蘭としては焦れったい作戦なのかな?


なんたって蘭は攻めて攻めて攻めまくる肉食系女子だし。

安全な草ばかり食べるわたしの背中を蹴りたくなる気持ちは、わからなくもない。


「もうすぐ夏休みでしょ?萩原先輩とデートの予定とかないわけ?」


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