キミは僕に好きとは言わない


「なっ、夏休みぃ!?」


まさかまさかの勘違い。

蘭の言葉に驚いて、持っていた箸を落としかけた。


「まさか何も考えてなかったの?」

「う、うん……」


そうだよ、普通に考えて蘭が突然わたしと先輩の未来を心配するわけないじゃん!

心配してくれたのは、未来よりもずっと身近な夏休みだった。


「どどどどうしよう!?もうすぐ夏休みなのすっかり忘れてた……」


今は学校があるから先輩に会えるけれど、夏休みに入ったらしばらく会えなくなってしまう。


先輩のお家まで遊びに行くとか?「お花買いに来ました」ってさりげなく………。

でもでも、急に行ったら迷惑!?


先輩としばらく会えないなんて考えられなくて、どうにかして予定をくっつけようと頭を悩ませた。


「普通にデートに誘えばいいじゃん。仲良いんでしょ?」

「えぇ!?そんな勇気ないよ……」


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