キミは僕に好きとは言わない


「また今から?なずなってオンとオフしかないよね」

「だって初恋なんだもん。正しい片想いのやり方なんてわかんないよ」


どれだけマンガを読んだって、結局それはわたしじゃない誰かの物語。

参考にすることはできるけど、恋愛初心者のわたしでは器用に真似ることができないから。


オンとオフ。1と100でもいいじゃん。

たぶんそれが、わたしの恋の仕方なんだと思う。


「まっ、そうだね。なずなの長所は真っ直ぐなとこだし」

「あはは、急に褒めても何も奢らないからね?」

「はいはい。照れ隠しはいいから、早く行って来なよ。それとも、先輩からのお誘いに期待してみる?」


先輩からのお誘い、かぁ。

お店に来ない?って誘ってくれたのは先輩だったけど、さすがにデートのお誘いまではしてくれないと思う。

どうせ誘うならわたしよりも仲の良い人、たとえば同じクラスの女の子とかさ?


「えー、人生そう上手くいくわけ……………」


「戸松なずなちゃんって、今いるかな?」


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