キミは僕に好きとは言わない
「震えてるんですか?……可愛い」
いつもより目覚めがいいのは、気のせいじゃない。
お気に入りのワンピースを何着か引っ張り出して、鏡の前で身体に当ててみる。
うーん。せっかくのデートだし、可愛い系の方がいいかな?
膝下より膝上?ミニ丈ワンピースでもアリ?それとも、長めの方が大人っぽくて好きかな?
「悩むなぁ……」
萩原先輩とのデートを楽しみにしていたら、あっという間に夏休みに突入していて、今日はそのデート当日。
毎日のようにずーっと何を着て行こうか悩んでいたけど、まさか当日になっても決まらないとは思ってもいなかった。
今日のために買ったワンピースも、改めて見たら似合わない気がして。
なかなかこれ!という1着が決まらない。
んー………まだ時間に余裕はあるけど、早く決めないと遅刻しちゃう。
蘭からヘアアイロンも借りたし、メイク講座だってやってもらった。
準備は完璧。あとはわたしの気持ち次第。
今できる精一杯のオシャレをして、少しでも可愛いわたしになりたいの。
気合い入りすぎって言われちゃう?
ううん、そんなの知らない。気合い上等。
せっかくのデートだもん。気合い入れてなんぼでしょ?